先日、ある仕事仲間から・・・
「キーボードいらない?」という連絡が入った。
8年前に、共にお手伝いをさせていただいたイベントの時に
そのテーマソングをおつくりになった○○さんという有名な作曲家の先生のものらしい。
その方がイベントの時に、キーボードを持ってきたらしいのだが
帰る時に荷物が多くて積み込めなくて、その知人がずっと預かったままだったようだ。
知人は近々、事務所を建て替えるので、倉庫の荷物整理を始めたのだが
勝手に処分も出来ないので、その先生に連絡したご様子。
回答は・・・
「そちらで処分しちゃってください。」
との事。
で・・・
処分するにも、多分数万円かかりそうだし、誰か引き取り手はいないか?
という事で、私に連絡が入ったのであります。
型番を聞いたら・・・
【KURZWEIL 250】との事。
KURZWEILというブランド・・・
私の中では『高額で優秀なマスターキーボード』という認識。
早速、ネットで検索。
この【KURZWEIL 250】というキーボードは、シンセサイザーでもなければ、マスターキーボードでもなく
なんと、サンプラー創生期のモノ。
さらに検索していくと、今回の機種・・・
↓
スティービー・ワンダーが製作に協力したモノらしい。
↓
http://www.proun.net/gallery/index_kurzweil.html
当時の雑誌(サウンド&レコーディング)を探して
楽器フェアなどのレポートを見ると、物凄く高い評価!
発売当時の価格は、ナントっ
2,980,000円也っ!!!
知人と思わず・・・
「あの当時、バブル期で、あの先生も稼いでたんだろうな~」
と。
サンプラーとは、解りやすく説明しますと・・・
生音をデジタル録音して、それを再生する機械。
なので、鍵盤=レコーダーの再生ボタンみたいな感じ。
サンプラーが、この世に産声を上げたのは、多分1980年代初期。
初期モデルは・・・
フェアライトやシンクラヴィアといった何千万円~何億円だったので
その数年後に発売された今回の機種などは、前出の2台よりも圧倒的に安く、しかも操作は簡略化されていてミュージシャン達から支持を得たらしい。
でも、正直・・・
現在の数万円のソフトサンプラー(パソコン上のサンプラー)のほうがリアルな音なんだろうな~
と思いながらも、、、
『当時の音』に興味があり、引き取ることに。
ふむふむ。
なるほど。
確かに、当時としてはリアルな音だったのかもしれませんね~。
といった感想。
鍵盤は・・・
木製で、奥まで覗くと一本一本が約50cmの長さがあり、確かに『イイ仕事』してます。
現在は、1ギガ単位で数万円というメモリーですが
当時は、1メガ単位で数万円だったので、鍵盤の仕事ぶりやメモリーを考えると、この高額も納得。
現在のソフトサンプラーは、その媒体単価の恩恵で・・・
1音に対して、数パターンを録音して、生音を表現します。
例えば・・・
強さによって、筐体の響きや、鍵盤自体の振動などまで再現されます。
でも、当時のサンプラーは、メモリー単価などの関係で
一番強く弾いた音をサンプリングし、それを再生時にボリュームの上下で表現する感じ。
また、この【KURZWEIL 250】は、多分1音づつサンプリングしているから
当時としては優秀だと言われていたんでしょうね。
なぜなら・・・
私が20年前に購入した【Ensoniq EPS】というサンプラーは
当時、節約に節約を重ねて約25万円で購入。
デフォルトでは、メモリーが2メガしかなく
さらに2メガのメモリー増設で、30万円近くだった気がするのですが
4メガになっても、1音づつサンプリングするなどという事は不可能で
1音サンプリングしたものを、テープの早回し的な原理で
1オクターブ分ぐらいカバーしてました。
また、ピアノなどのように
アタック音と減退音で構成される楽器などは
減退音の部分などは、ループを使ってメモリーを節約してました。
現在のソフトサンプラーは、ピアノをはじめ、ほとんどの楽器のサンプリングは
フルでサンプリングし、そしてフルで再生しますし
それに前出のように1音に対して複数音サンプリング
かなりリアルな表現が出来ます。
私が現在使っているソフトサンプラーに入っているサンプリング音源の
『ベーゼンドルファーのサンプリング』などは
1ギガちょっとのサイズ。
でも、当時の私のサンプラーでは、4メガ。
30年弱の間で、再現性が物凄く進歩したという事でしょうか。
とは言っても、ホンモノの生ピアノの響きは
永遠に表現できないのでしょうね。
でも、目の前で生演奏を聞くのであれば、生ピアノが一番でしょうが
それを録音したものの再現性となると
チューニングから始まり、マイク性能、マイクのポジショニング、録音する室内環境、などなど
下手に録音するのであれば、ソフトサンプラーに任せたほうが間違いないケースが多いですね。
さてさて・・・
この【KURZWEIL 250】
数分間弾かせていただいて、当時の音を体験し、正直お腹いっぱい。
この大物。
狭い事務所内のスペースを、かなり圧迫します。
という事で、その後は壁に立てかけた状態。
ちなみに、知人に相談・・・
「オークションとかに出しちゃってみる?」
「先方さんが処分してという事なので、処理場に出しても数万円かかるから、それでもいいよ~。私は機械の事はまったく解らないから任せるよ~。」
でも・・・
手元にマニュアルがないので、デフォルトのメモリーに入っている音の再生のみしか確認出来ず
サンプリングやらシーケンサー(プログラム)系の部分は、検証出来ない状態。
昔からお世話になっている都内の中古品を扱う楽器店で聞いてみたら
「これは引き取り出来ないですね~。」
ハードオフに聞いてみたら・・・
「調べてみました。定価は凄いみたいですが、年代が年代なのでジャンク扱いで頑張っても1万円前後ですかね~。」
昨日、妻が会社に来た時に、ちょっと振ってみると・・・
「凄いじゃん。カッコイイじゃん。ダメだよ売っちゃ!孫が出来た時にイイじゃん。」
さらに・・・
「今までの、この3台よりも、これのほうがカッコイイじゃん。この3台片付けちゃって、コレにしなよ。デ~ンとしてていいね~!」
そうなんです。
妻は『見た目重視』ですので。
娘のアップライトピアノを購入する時も、私と娘が鍵盤の感触や音色をチェックしている時に
「これがイイんじゃないの~?」
と、見た目最優先でしたから。
とにかく・・・
最後に妻が言った一言が、全てをまとめていましたね。
【このキーボードを置いても余裕があるような、広~い事務所に移転するのを目標に、明日から頑張ることだね~】
ps
後日、このキーボードのお話を、ある音響機器メーカーの方にいたしましたら...
「文化財として次世代に伝えなきゃならない一品ですね」という言葉をいただきました。
ある意味、現在のバリアフリーの様々なポイントも含まれている機器なのかもしれません。




























